青空がまぶしい今日はクリスマス。
 なんとなく、予定もないし家から出るのも億劫だなと思っていた矢先、ピンポーンと景気のいい音が部屋に響く。


 ●Merry X’mas●

 
 なんだろう、と思って玄関に出ると、帽子を深く被った青年が「お届け物です、印鑑をお願いします」と僕に腕が回せるほどのダンボールを渡しながら言う。
 見覚えがないものの、印を押し受け取ってみる。
 あて先が無かったというのであけるのを躊躇いつつも、恐る恐るあけてみる。

 中身は、一枚の紙と一輪の茶の花。
 訝しげにそれを見つつも、紙を広げる。
 でかでかと見出しに『いー様宛』と書かれている。偉く達筆に、僕は怖くなった。
 けれども読まないといけない気がし、仕方なくそのまま内容に目を通す。

『こんにちは、いー様。この届け物が貴方様に届く頃、きっとお暇をしていると存じ上げます』

 ……なんだこれは。

『なので、私からのクリスマスプレゼントをお届けしたいと思います。
 この手紙の最後に質問が添えられていますので、今からその質問どおりに動いてもらいたいと思います。
 尚、勝手な行動をした場合は何かしら人が出向くかもしれませんが、ご了承くださいませ。
 茶の花言葉は"追憶"何れは貴方を幸福へと導く鍵となると思います。では』

 ……どうして、こんなものが僕のところへ宛てられていて、僕の行動を制限されなきゃいけないのか。
 一つ溜息を吐きながらも、もう慣れている自分に同情してしまいそうになりつつ、下に目を通す。
 質問はこうだった。

『貴方が今一番会いたい人は同姓ですか、異性ですか。
 同姓ならばカフェへ、異性ならば公園へ行ってくださいね?』


 ――
無視 
 ――カフェへ
 ――公園へ
 





























(無視)

 こんなもの、無視に限る。
 どうせ零崎かなんかがいたずらでやっているんだろう。
 僕ははぁ、と溜息をついて寝転がった。
 また眠るのもオツ、クリスマスといえど僕は無宗教派だ。関係ないと言い張ってしまえばそうだと思う。

 コンコンコンッ

 転がろうとした時、景気のいい音が部屋に響く。
 なんだろ……と僕はすでに眠る気だった目をこすり、ドアのほうへ向かう。
「はーい……?」
 カチャ、とドアノブに手をかけ、紅をまとった人に出会うのにさほど時間は掛からなかった。
「メリークリスマス、いーたん」
 
 今年の冬は破壊の冬だった。

(いーたん、言うとおりにしなかっただろ)
(……あの手紙、哀川さんだったんですか)
(ま、いいけどな。今年はいーたんを弄くることにしたしなー)



ハッピーエンド?(潤僕)
 

――
懺悔
 





























(カフェ)

「えっと……カフェにきたけど」
 うーん。どうしたものか。
 入り口でこのあとどうすればいいか悩んでいると、店員の人が控えめに尋ねてくる。
「あの、”戯言遣い”さんですか?」
 突然の質問に、少しうろたえながらも首肯する。
 すると、奥のほうへと通された。……ふうん、名前で奥に通してくれるのか。 
 もしかして、誰かがいるのかと思ってみたら、まさしくそうだった。
 斑な銀髪、頬に刺青。
「よお、奇遇だな」
 零崎人識だった。
 
(なんで君が……)
(それはこっちの台詞だぜ、欠陥。赤い女が急に現れてよ……)
(……ふうん)
(勿論、お前にとっても逢いたかったからとっても嬉しいんだぜ?)
(ふん、)
(そしてお前も俺に逢いたかった。違うか?)
(……うるさい)

にやにやと笑っている、あくどい人識
少しだけ赤面するぼく


ハッピーエンド(零僕)


――
懺悔
 





























(公園)

 何が同姓だよ。
 ぼくは男だぜ。
 迷わず公園へ行くと、そこのさびて赤くなったベンチには一枚の手紙。
 今更躊躇わなくてもいい気がして、ぴりっと封を切る。
 中身を取り、流し読みをする。

『今逢いたい人は?
 姫ちゃんならそこにいてください。
 崩子ちゃんならアパートへ戻ってください』

 ふうん、二択……ね。
 そこは勿論、

――
とどまる
――アパートへ
 





























(とどまる)

 数分後。
 ベンチのある場所からは丁度見えない、一本先の道から声が聞こえた。
「ししょー…?」
 大きな声で、けれど確かめるようにぼくを呼ぶ声が聞こえる。
 甲高い声。まるで女の子な声。
 この声色と、呼び名は姫ちゃんのものだった。
「姫、ちゃん?」
 ぼくも、絶対姫ちゃんだとは思うもののたずねるように叫ぶ。
 と、ぱあっと笑顔になって駆け寄ってきた。うーん、可愛い。
 
(ししょお、やっぱり公園にいたですね!)
(なんで?)
(だって、私大好きなのですよ!)
(……僕も大好きだよ)
(え、なんですか?)
(なんでもない)

 ハッピーエンド(僕姫)


――
懺悔
 





























(アパート)

「戻ってきたはいいものの……」
 どうしていたらいいんだろう?
 戸惑っていると、タバコの匂いが漂ってくるのが分かった。
「いー兄、どうしたんですか?」
 萌太くんだった。
 崩子ちゃんがいるときはすわないんじゃないのか、と思っていたけれど。
 いないのかな?
「崩子ちゃんは?」
 僕はそう尋ねると、はぁ……と溜息をつかれる。

「いー兄に、崩子は渡しません」

(きっぱり言い張られた……)
(当たり前でしょう、僕だっていー兄のことが好きなんです)
(……え?)
(だから……ああ、いえいえ。気にしないで下さい)


ハッピーエンド?(萌僕)


――
懺悔
 





























(懺悔)


初めての選択識。
時間がとてもなかったので、内容的にも軽いものになってしまいましたが…。
もしよろしければ、4通りありますので試してみてください。
今度はお正月……間に合わなくても、バレンタインでの選択ものを書いてみたいと思います。

言い訳がましいですが、初めてつくったものにも関わらず酷い有様なこの『Merry X’mas』をここまで読んでくださり、ありがとうございました。
題名にひねりがなくてすみません(


もしよろしければ、クラップにて感想送ってあげてください!
また挑戦!
 

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